DATプロジェクトメンバー
札幌およびニューヨークで展覧会をつくる本プロジェクトの2年間のカリキュラムに参加する「DATプロジェクトメンバー」。今回の選考では、現代のテクノロジーと社会、アート、自身の表現や実践との関係性に課題意識を持つ、20代から40代までの12名を採択しました。2026年度より、美術領域にとどまらず、起業家や新規事業開発従事者、研究者など、多様な専門性をもつメンバーが本プロジェクトに参画します。

伊藤滉太
ITO Kota
起業家
2003年生まれ、島根県出身。株式会社Almondo CEO。東京大学文学部卒業。在学時、松尾豊研究室の支援を受けAlmondoを創業し、国内大手数十社の生成AI活用を支援。その後、上場企業のテンダにグループ入りし、執行役員を兼務。AI時代にあって、風土を解きほぐしたものづくりや仕事を通じた人間の尊厳といった問いを抱えつつ、テクノロジーを仕事にしてきた立場から、芸術を通じた探索に取り組む。

岩本室佳
IWAMOTO Sayaca
美術家、編集者
広島県出身。東京を拠点に活動。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業、同大学院美術研究科修了。カタストロフィ(致命的な危機)によって、ある存在が圧倒的な権力や影響力を帯びること、その常態化によってもたらされる反作用について寓意的に表現する。ジャーナリズムや学術、文藝の分野では執筆・編集・ファクトチェッカーとして活躍。国際芸術祭、美術館、ギャラリー、アートプロジェクトにおけるPR・危機管理広報にも携わる。

岡 碧幸
OKA Miyuki
アーティスト、リサーチャー
北海道大学農学部卒業、ロイヤルカレッジオブアートIED修了。武蔵野美術大学特任研究員。物・場所・出来事と情報、そこに生じる力への関心のもと、収集や整理、置換、移動、並置、索引化などの操作を通じて制作し、インスタレーション・映像・社会的介入へと展開している。近年は専門家とのやりとりを通し、分析と具体的な実践を往復しながら進めるリサーチプロジェクトにも取り組む。過去の個展に「イン・サイチュ・絶対」(クマ財団ギャラリー、東京、2024)、「立体交差」(空間、札幌、2024)など。https://miyukioka.com/

坂元伶音
SAKAMOTO Reon
東京大学大学院修士課程在籍/バイオハイブリッドシステム
大阪府出身。筑波大学総合学域群に第1期生として入学し、工学・生物学・芸術制作を横断的に修得。現在は東京大学大学院にてバイオハイブリッドシステムを専攻し、微細藻類を用いた組織研究に取り組む。
学生時代の経験から、「心が動く瞬間にこそ価値(経済)が生まれる」ことを実感。科学技術の社会実装と並行して、アーティストとの協働やイベントの広報発信設計など、論理と感性の境界を探る実践を重ねてきた。アーティスト、キュレーター、研究者が交差する場に関心を持ち、藝術と技術の相対化が行われる現場に携わるべくDATに参加する。
田中悠太
TANAKA Yuta
イントレプレナー、ISO国際標準化エキスパート
日揮ホールディングスにて機械系技術者として複数の国際プロジェクトに従事後、事業投資部門にて発電・造水事業の運営およびM&Aに携わる。現在は廃プラスチックのケミカルリサイクルなど、気候変動・資源循環領域における事業開発に取り組むとともに、水素およびGHG算定に関する国際標準(ISO)の策定にエキスパートとして参画。中小企業診断士。異分野のコミュニティを横断し、越境者、翻訳者として人や知をつなぐことで、自身と社会の拡張を志向している。

富塚絵美
TOMIZUKA Emi
アートディレクター/東京藝術大学キャリア支援室特任助教
アートプロジェクトの企画やパフォーマンス作品の制作、文化施設での教育普及・連携事業、アーティストのキャリア支援、他分野との共創プロジェクトなど多岐にわたる活動を展開。先天性盲ろうの人々との出会いを機に、教育や文化芸術、言語への関心を深める。新しい「遊び」を提案する独自の手法で、異なる背景を持つ人々が学び合い共創する場を創出する。2022年からは福祉施設を拠点に、職員や多様な障害のある方々と共にアートプロジェクトを実施。人々が自然な形で文化的な時間を過ごせるよう、環境づくりと支援を続けている。

長谷川愛
HASEGAWA Ai
アーティスト/山梨県立大学国際政策学部教授
生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフに、現代社会に潜む諸問題を掘り出す作品を発表している。代表作に「(不)可能な子供」、「Human X Shark」、「I wanna deliver a Dolphin...」など。IAMAS、Royal College of Art、MIT Media Lab卒業。MoMA、MoCA Shanghai、森美術館、The XXII Triennale di Milano等国内外で展示を行う。著書に『20XX年の革命家になるには──スペキュラティヴ・デザインの授業』(BNN、2020)。

花形 槙
HANAGATA Shin
アーティスト
パフォーマンス、メディアアート、現代美術の領域で活動。テクノロジカルに加速する資本主義社会において「私」であること、「人間」であることが揺らぐリアリティのもと、通信システム、ウェアラブルデバイス、義肢装具といった身体と世界とを関係づけるテクノロジーに着目し、〈人間性の捻転〉を試みる。主な発表に舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」(東京芸術劇場、東京、2025)、個展「技術的嵌合地帯—CHIMERIA」(新宿ホワイトハウス、東京、2025)、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館、東京、2023)など。 https://www.shinhanagata.com/

早川翔人
HAYAKAWA Shoto
アーティスト
オンスクリーンメディアとの関わり方をテーマに、実験的なゲームや映像インスタレーションを制作。かつて人類が狩りを通じて遊びながら社会訓練をしていたような遊戯性が、カメラの前で演じる行為にもあると捉え、観客を映像の出演者として巻き込むことで、観客と映像、あるいは見知らぬ観客同士のあいだに、不可分な関係性を築こうと試みる。これまでにA MAZE. / Berlin、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]、Cairo Video Festivalなどで作品を発表。 https://shotohayakawa.org/

Photo: Chiharu Saito
本間悠暉
HOMMA Yuki
アーティスト
神奈川県出身。東京大学経済学部経済学科卒業。AR/VR技術事業会社での研究活動を経て、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。作家自身のアバターを、仮想現実空間上に介入させたり、インターネット上で収集した映像に投影する行為を通じて、世界や他者との距離感が混沌とした時代におけるリアリティの再構築や社会性の発露を主題に制作する。主な展覧会に「CAF賞 2024 入選作品展覧会」(代官山ヒルサイドテラス、東京、2024)、「芸術未来研究場展」(東京藝術大学大学美術館、東京、2023)。 https://yukihomma.com/

Photo: Joji Kurisu
松田将英
MATSUDA Shōei
アーティスト
1986年生まれ。東京を拠点に活動。ポストインターネットおよびAI以後の感性を背景に、匿名性と作者性、情報と物質、日常と制度のあいだに生じるずれを探究し、彫刻、インスタレーション、展示設計へと変換している。主な展示に「DXP(デジタル・トランスフォーメンション・プラネット)―次のインターフェースへ」(金沢21世紀美術館、石川、2023)、「The Big Flat Now」(Dubai Festival City、ドバイ、2023)など。https://www.shoeimatsuda.com/

松永未来
MATSUNAGA Miku
MoN Takanawa: The Museum of Narratives コミュニケーションコーディネーター
1993年東京都生まれ。青山学院大学法学部卒業。東急エージェンシーにてプロデューサーとして従事後、リクルートにてマーケティングリサーチャーを務める。のち、現代アートギャラリーKOTARO NUKAGAでのPR、渡英を経て、2026年2月より現職。これまで従事した主な展覧会に、「Rhizomatiks Beyond Perception」(KOTARO NUKAGA 天王洲、東京、2024)、「松山智一展 FIRST LAST」(麻布台ヒルズギャラリー、東京、2025)など。
応募概況
- 募集期間
- 2026年2月22日(日)~3月15日(日)【22日間】
- 応募総数
- 95名
- 採択人数
- 12名【選考通過率12.6%】
審査総評
アート&テクノロジーをテーマに新たな手法で展覧会を協働でつくるという、ほかに類を見ないプログラムにもかかわらず、今回の公募には予想を上回る多くの応募が集まりました。審査においては、「藝術と技術」「東洋と西洋」「コンセプトの構築と批評的対話」といった本プロジェクトの方向性に対する応募者それぞれの課題意識を重要視しました。また、複数の設問による調査課題では、論理的思考力、調査方法、構想力を評価しました。同分野のアートセンターやフェスティバルでは女性作家の起用が2割程度に留まるというジェンダーバランスの課題が指摘されていますが、今回の公募では多様な職種を対象とすることで、応募・採択ともに女性比率にも広がりが見られました。応募状況から見えてきた同分野の教育機会への関心とニーズの高さを受け止め、本プロジェクトの今後の活動展開に活かしていきます。
藤幡正樹氏コメント
公募期間が短かったにも関わらず、95人もの申請があり、挑戦してくれた皆さんのエネルギーにとても感謝しています。この活動がこんなに注目されていることに勇気づけられました。選出された12人のプロジェクトメンバーは、これからコンセプトの開発プロセスをいっしょに相互に共有していきます。そこから具体の展示を作り上げていくことになります。テクノロジーが身体の延長としての道具の領域であった時代は終わっています。現在の世界では、人間はテクノロジーにプログラムされているといっても過言ではありません。テクノロジーなくしては生きていけないにも関わらず、それは自分で操作できるものではなくなっているのです。アーティストにとって、この問題を考えずに活動することは不可能です。この問題を広く示すこと、それを越えて未来に向けてなんらかの可能性を提示することをこの12人メンバーと進めることができることは幸いです。