藝術と技芸の対話

プロジェクトについて

藝術と技芸の対話について

「芸術と技芸の対話(DAT)」は、アート&テクノロジー分野に特化した3年間にわたるカリキュラムにより、同分野のアーティストやプロデューサー、キュレーター等の専門家の育成を目的とするものです。エグゼクティブディレクターとして、日本のメディアアートのパイオニア的存在であり、これまでに同分野の教育の礎を築いてきた藤幡正樹氏が参画し、講座や調査研究、ブートキャンプ、国内外での展覧会の企画・実施、シンポジウム等の多角的なプログラムを開催していきます。

エグゼクティブ・ディレクター:藤幡正樹(メディアアーティスト)
プロデューサー:廣田ふみ(株式会社イッカク代表取締役社長)

21世紀の藝術にとって、技術の問題は避けて通れない。本来技術とは人間の身体と切っても切り離せないものであったのだが、西洋近代社会はそれを切り離し、技術を自律させ、自動化させた。藝術は自動化と相容れないものであり、極めて人間的なものである。そこでこのプロジェクトでは、馴染のない言葉であるが、技術ではなく、技芸ということばを使うことにした。技芸ということばには、熟達のワザという意味があり、明治期に別れた工学と工芸といった言葉よりもさらに人間のワザに重きが置かれているからである。また同時に、ワザを忘れた藝術にも問題があるのではないだろうか?明治以来、今も長く続いている問題についてあらためて考えるプロジェクトである。

※西洋近代にはじまるアートは、20世紀のコンセプチュアルアートにおいてひとつの終止符が打たれたという考え方に依拠している。

藤幡 正樹 FUJIHATA Masakiのプロフィール画像

藤幡 正樹 FUJIHATA Masaki

エグゼクティブ・ディレクター プロフィール

日本のメディアアートのパイオニア。80年代はコンピュータ・グラフィックス、90年代はインタラクティブアートやネットワークをテーマにした作品を制作。その後、GPSを使ったフィールドワークシリーズを展開。現在は、ARを扱ったBeHereを継続中。1996年、アルス・エレクトロニカ(リンツ、オーストリア)で日本人初のゴールデン・ニカ賞を受賞、2010年文化庁「芸術選奨」文部科学大臣賞、1989年から慶應義塾大学環境情報学部、1999年東京藝術大学、2005年大学院映像研究科の設立に参加。東京藝術大学名誉教授。2017年はオーストリアのリンツ美術大学、2018年は香港バプティスト大学、2020年はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の客員教授。

廣田 ふみ HIROTA Fumiのプロフィール画像

廣田 ふみ HIROTA Fumi

プロデューサー/株式会社イッカク代表取締役

IAMASメディア文化センター、山口情報芸術センター[YCAM]を経て、2012年より文化庁にてメディア芸術の振興施策に従事。2015年より国際交流基金にて、日本と東南アジアの文化交流事業の一環としてメディア文化、メディアアートをテーマとした事業を企画。2020年からは東京都歴史文化財団にて収蔵品等の文化資源をデジタル化し、多様な形態での鑑賞体験を提供する「TOKYOスマート・カルチャー・プロジェクト」や芸術文化へのアクセシビリティ向上に取り組むプロジェクト「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」、アートとデジタルテクノロジーを通じて人々の創造性を社会に発揮するための活動拠点「シビック・クリエイティ・ベース東京[CCBT]」を構想・立ち上げ。2024年、アルスエレクトロニカ S+T+ARTS Prize Prize(主催:欧州委員会)審査委員。二松学舎大学非常勤講師。